ソロキャンプの道具選び

規格やスペックの意味までさかのぼって、初心者がどこで間違えるかを書いています

車中泊に必要なもの5つ|道の駅は本当に泊まっていいのか

本記事は広告を含みます(楽天アフィリエイト)。

車中泊 道の駅は本当に泊まっていいのか

連休に出かけたいけれど、宿が取れない。取れても高い。あるいは、朝いちばんに現地へ着いていたい。

そういうときに車中泊が選択肢に上がります。テントを張るより手軽で、費用もかからない。実際、旅行の途中で一泊だけ、という使い方をしている人はかなりいます。

ただ、始める前に知っておいたほうがいいことがあります。そのひとつは「どこに泊まっていいのか」で、多くの記事が曖昧にしている部分です。

この記事では、泊まる場所のルール最低限いるもの5つ、そして命に関わる3つの危険を書きます。

「道の駅で車中泊できる」は、半分間違いです

まずここからです。

道の駅は24時間使える休憩施設で、運転の疲れをとるための仮眠は認められています。 ここまでは事実です。

ところが、公共の駐車場に「宿泊目的」で滞在することは、国土交通省が控えるよう求めています。

つまり線引きはこうなっています。

扱い
休憩・仮眠認められている
宿泊目的の滞在控えるよう求められている

やっかいなのは、この2つを分ける時間の定義がないことです。「何時間までなら仮眠か」は決まっていません。

だからネット上では「道の駅は車中泊OK」と「道の駅は車中泊NG」が両方書かれていて、どちらも部分的に正しい、という状態になっています。

では、どうすればいいのか

現実的な答えは3つです。

1. 明示的に車中泊を認めている道の駅を選ぶ。 施設によっては公式サイトで受け入れを表明しています。事前に確認してください。 逆に、はっきり禁止している道の駅もあります。

2. RVパークを使う。 車中泊のために整備された有料の駐車場です。電源やゴミ処理が使えるところもあります。

3. オートキャンプ場に泊まる。 車を乗り入れられるので、そのまま車内で寝られます。料金を払って泊まる場所なので、後ろめたさがありません。

道の駅でやってはいけないこと

仮に泊まれる場所であっても、次の行為は「キャンプ」とみなされ、ほとんどの施設で禁止されています。

  • テーブルや椅子を外に出して食事をする
  • テントやタープを張る
  • 屋外での調理、火の使用

ゴミも持ち帰りが原則です。ゴミ箱があっても、施設の利用者向けであって、車中泊のゴミを捨てるためのものではありません。

滞在は1泊まで、夕方に入って翌朝早くに出る。これが基本の形です。

最低限いるもの5つ

1. マット(これが最重要)

車の座席は、倒しても平らになりません。 どんな車でも段差と傾斜が残ります。

そのまま寝ると、腰の一点に体重が集中して、朝には痛みが出ます。 車中泊が「疲れる」と言われるいちばんの原因がこれです。

マットの役割は、寝心地ではなく「面を作ること」です。

初心者がやりがちな失敗

「後部座席を倒せばフラットになる」と思って、そのまま毛布だけ敷いて寝る。

ところが横になってみると、背もたれと座面の境目に段差があり、しかも全体が頭側へ傾いている。 頭に血が上る感じがして眠れない。向きを変えると、今度は足が下がる。

結局、腰の一点で体を支える形になって、朝には腰が痛い。

「車中泊は疲れる」という感想の大半は、車が悪いのでも体力の問題でもなく、面ができていないだけです。ここはマット1枚で解決します。

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厚さ8cmで、2枚を連結できます。 車の後部を横断するように敷けば、段差を吸収して一枚の面になります。2人で寝るときにも、真ん中に隙間ができません。

R値6.0なので、冬の車中泊で下から冷えるのも防げます。 車の床は薄い鉄板一枚で、外気にさらされています。地面と同じで、下からの冷えは寝袋では防げません。

電源不要で、バルブを開けるだけで膨らむのも、車内では効きます。

2. 寝袋または毛布

車内は思った以上に冷えます。 エンジンを切れば暖房も止まるからです。

毛布でも構いませんが、寝袋のほうが体の周りの空気を閉じ込める構造なので暖かい。夏場でも明け方は冷えるので、薄手のものは持っておいてください。

3. 目隠し(サンシェード・カーテン)

これは快適さではなく、安全と気持ちの問題です。

外から中が見えると落ち着いて眠れません。特にひとりのときや女性の場合、中が見えないことが安心につながります。

まず用意すべきはフロント(前面)です。 面積が最も大きく、外から中がいちばん見えるうえに、朝いちばんに日が差し込んで室温を上げるのもここだからです。

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XSからXXLまで6サイズあります。 ここが選ぶときの要で、車種ごとにフロントガラスの寸法が違うため、汎用品ではサイズ表と自分の車の実測を照らし合わせる必要があります。 小さいと隙間から光と視線が入り、大きいと収まりません。

後席の窓は、吸盤式の小さなシェードやタオル、カーテンでも代用できます。 まずフロント1枚から始めれば十分です。

4. 明かり

車内灯を使うとバッテリーが上がります。 これは実際によくあるトラブルで、朝エンジンがかからなくなります。

電池式か充電式のランタンを1つ持っていってください。吊り下げられるものだと、車内の天井フックに掛けられて便利です。

車内では明るさを絞ってください。 狭いぶん光源が近く、500ルーメンでも眩しすぎます。理由は別記事に書きました。

5. 電源

スマホの充電が切れると、地図も連絡も止まります。

エンジンを切った状態でシガーソケットから充電するのは避けてください。 バッテリーが上がります。モバイルバッテリー、またはポータブル電源を用意するのが確実です。

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この商品を選ぶうえで、確認してほしい表記が1つあります。「PSE認証済」です。

モバイルバッテリーは電気用品安全法(PSE)の規制対象で、PSEマークのない製品は日本国内で販売できません。 リチウムイオン電池は発火事故が起きうるため、規制がかかっています。

車内で一晩充電しっぱなしにする道具なので、ここは省略できない条件です。安い製品を選ぶときほど、この表記を確認してください。

mAh と Wh は、直接は比べられません

もうひとつ、混同されやすい単位の話です。

モバイルバッテリーは mAh、ポータブル電源は Wh で表示されます。数字の桁が違うので比べにくいのですが、電圧をかけると同じ土俵に乗ります。

20,000mAh × 3.7V = 約74Wh

つまり、20,000mAhのモバイルバッテリーは、およそ74Wh。 500Wh級のポータブル電源とは7倍近い差があります。

判断はこうなります。

  • スマホの充電だけなら、モバイルバッテリーで足ります。 2,000円台で買えて、軽い
  • 扇風機や電気毛布まで動かしたいなら、ポータブル電源が必要です。 そもそも出力が違います

「とりあえず1泊」ならモバイルバッテリー1つで十分です。ポータブル電源は、車中泊の回数が増えてから考えれば間に合います。

命に関わる3つ

ここからは、快適さではなく安全の話です。車中泊で人が亡くなる原因は、だいたいこの3つです。

1. エコノミークラス症候群

長時間同じ姿勢でいると、血流が滞って血栓ができます。 それが肺や心臓に流れ込むと、命に関わります。

車中泊は座った姿勢や窮屈な体勢になりやすいので、飛行機と同じリスクがあります。災害時の車中泊避難で実際に起きています。

防ぐ方法ははっきりしています。

  • 足を伸ばして寝られる状態を作る(だからマットで面を作ることが重要です)
  • 水分をとる。トイレを気にして水を控えるのが、いちばん危ない
  • ときどき体を動かす。トイレに行くついでに歩く

2. 一酸化炭素中毒

エンジンをかけたまま寝るのは危険です。

排気ガスが車内に入り込むと、一酸化炭素中毒になります。無色無臭で、気づいたときには動けません。

特に危ないのが雪の日です。マフラーが雪でふさがれると、排気が車の下に溜まって室内へ回り込みます。

基本はエンジンを止めて寝ること。 暑さ寒さは、エンジンではなく寝具と着るもので対処してください。

3. 温度

夏の車内は、日が昇ると急激に温度が上がります。 朝寝坊すると熱中症の危険があります。日陰か、風の通る高い場所を選んでください。

冬は逆で、車の床から冷えます。 前述のとおり、床は鉄板一枚です。マットと寝袋で対処します。

キャンプ道具は、そのまま使えます

ここまで挙げたもののうち、マット・寝袋・ランタンは、キャンプ道具と同じものです。

つまり車中泊のために買い足すものは、実はあまりありません。 逆に、車中泊のために買ったものは、そのままキャンプでも防災でも使えます。

道具の選び方は別記事にまとめています。

そして車中泊に慣れてくると、次はテントを試したくなります。 そのときは雨の日の備えが要るので、耐水圧の見方も知っておくと選びやすくなります。

まとめ

  • 「道の駅で車中泊OK」は半分間違い。 仮眠は認められているが、宿泊目的の滞在は控えるよう求められている
  • 泊まるなら ①受け入れを明示している道の駅 ②RVパーク ③オートキャンプ場
  • 道の駅でテーブルを出す・テントを張る・調理するのはキャンプ行為とみなされ禁止
  • 必要なのは ①マット ②寝袋 ③目隠し ④明かり ⑤電源
  • マットの役割は寝心地ではなく「平らな面を作ること」
  • エコノミークラス症候群・一酸化炭素中毒・温度の3つが命に関わる
  • エンジンをかけたまま寝ない
  • キャンプ道具はそのまま使える

車中泊は、安く済ませるための我慢ではありません。朝いちばんに現地にいられるという、宿にはない利点があります。

ただしそれは、泊まっていい場所で、安全な形でやった場合の話です。

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最後にひとつ伺わせてください。車中泊をするとしたら、いちばん不安なのはどこですか? 場所、安全、それとも寝心地でしょうか。よければコメントで教えてください。

キャンプ道具は防災に使える?効く5つと使えない3つ

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キャンプ道具は防災に使えるか

9月1日は防災の日です。

キャンプ道具を持っている人は、この時期にこう考えることがあります。「うちはキャンプ道具があるから、防災は大丈夫だろう」。

半分は正しく、半分は違います。

正しいのは、キャンプ道具が「電気・ガス・水道が無い前提」で設計されていることです。災害時に止まるものと、キャンプで最初から無いものは、きれいに一致します。この相性の良さは本物です。

違うのは、キャンプ道具のすべてが防災に効くわけではないことです。持っていても使えないもの、そもそも都市部では使えないものがあります。

この記事では、本当に効く5つと、期待ほどではない3つに分けて書きます。そして最後に、転用するときに知っておかないと危ない点を3つ挙げます。

道具そのものの選び方は別記事にまとめています。

本当に効く5つ

1. カセットガスのバーナー(最重要)

これが1位です。 そして、備えている人ほど見落としている穴があります。

防災の備蓄で広く勧められているのがローリングストック——普段食べるものを少し多めに買い、使ったら補充する方法です。これは正しい。

ただし、ここに前提が抜けていることがあります。

災害時はガスも電気も水道も止まります。食材を備えても、調理できません。

レトルトも、乾麺も、米も、加熱できなければ食べられません。 つまり食料の備蓄は、熱源とセットでなければ完成しない

そして熱源として最も現実的なのが、カセットガス(CB缶)です。

理由は、別記事で書いたCB缶の性質がそのまま効くからです。

  • 家庭のカセットコンロと同じ缶が使える
  • スーパー・コンビニ・ホームセンターで買える
  • だからガスそのものをローリングストックできる

鍋をやるときに古い缶から使い、買い足す。これを回していれば、備蓄が自然に新しく保たれます。アウトドア専用のOD缶では、これができません。

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家庭用のカセットコンロがあるなら、まずそれで構いません。アウトドア用のシングルバーナーが優れているのは、屋外で使えることと、場所を取らないことです。

屋外でも使えるカセットコンロを選ぶときに見るのは、火力ではありません。 そこはどれもほぼ同じだからです。

見るべきは風防の構造と、何を載せられるかの2点です。

防災用ならこれで十分:イワタニ 風まる3

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最大発熱量3.5kW、連続燃焼66分、重量2.2kg、鍋底24cmまで対応。

2枚のパネルで風を遮る構造で、それぞれ独立して角度を変えられます。屋外での使用を前提に作られているので、ベランダでも庭でも使えます。キャリングケースが付いているので、押し入れでの保管も楽です。

災害時に使うのは、普通の鍋とケトルです。 それならこの1台で足ります。

ワンランク上:イワタニ タフまるXG

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こちらは外側に風防ユニットを装着するタイプで、X型のゴトクを採用しています。

では、4,000円ほどの差は何に払っているのか。 数字を並べると見えてきます。

風まる3タフまるXG
最大発熱量3.5kW3.4kW
重量2.2kg2.2kg
耐荷重約15kg20kg
載せられる鍋鍋底24cmまで最小6cmから(X型ゴトク)

火力も重量も、ほぼ同じです。 むしろ発熱量は安いほうがわずかに上回っています。

差は「何を載せられるか」でした。タフまるXGは耐荷重20kgでダッチオーブンに耐え、X型ゴトクなのでシェラカップのような小さいものも安定します。対応する範囲が上下に広い。

だから判断はこうなります。キャンプで重い鋳鉄鍋や小さなクッカーを使うならタフまるXG。防災用として普通の鍋とケトルが載れば足りるなら、風まる3で十分です。

どちらを選んでも、家庭用と同じCB缶が使えます。鍋をやるときに古い缶から消費して買い足す——ローリングストックがそのまま回ります。

「防災用に買って、押し入れにしまう」道具は、たいてい使い方を忘れます。 普段から使うものを選んでおくほうが、いざというときに動けます。

2. ヘッドライト

停電で効きます。そして懐中電灯より上です。

理由は道具の記事にも書いたとおり、両手が空くから。停電時にやることを思い浮かべてください。片付ける、荷物を探す、階段を降りる、子どもの手を引く。片手が塞がっていると、どれもやりにくい。

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防災用として選ぶなら、乾電池でも動くモデルを勧めます。停電が長引けば充電できません。単4電池を数本、一緒に置いておけば復帰できます。

3. ランタン

ヘッドライトが「作業の光」なら、ランタンは「その場にいるための光」です。

明るさの数字の読み方と、明かりを役割で分ける考え方は別記事にまとめています。

暗い部屋で一晩過ごすのは、想像よりこたえます。暖色の光が1つあるだけで、精神的な負担がかなり違います。 特に子どもがいる家庭では効きます。

そして防災用として選ぶなら、USB給電機能がついたモデルが効きます。停電が長引いたとき、明かりとスマホの充電を1台でまかなえます。

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キャンプだけが目的なら3,000円台のモデルで十分ですが、防災を兼ねるならこのクラスに意味があります。

4. 寝袋

暖房が止まったときに効きます。

自宅避難でも避難所でも、冬なら室温が下がります。毛布より寝袋のほうが、体の周りの空気を閉じ込める構造なので暖かい。

そして化繊なら丸洗いできます。 避難生活が長引いたときに、これは大きい。

防災用に選ぶなら、迷わず化繊です。 ダウンは軽くて小さくなりますが、濡れると保温力が落ち、手入れも面倒。押し入れに置いておく道具としては、洗えることのほうが効きます。

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5. マット

これがいちばん過小評価されています。

避難所の床は硬く、冷たい。体育館の床に毛布1枚で寝ると、下から熱を奪われ続けます。

別記事で書いたとおり、寝袋の温度表記はR値4.8のマットがある前提で測られています。つまり寝袋だけでは、暖かさは成立しません。

折りたたみ式のクローズドセルマットなら、空気を入れる必要がなく、穴も開きません。 押し入れに立てておけるので、備蓄向きです。

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期待ほどではない3つ

ここからは、持っていても使える場面が限られるものです。

1. テント

意外に思われますが、災害時に張れる場所がありません。

避難所の体育館にペグは打てません。自宅の庭や駐車場があれば別ですが、都市部の集合住宅では現実的ではない。 公園も、災害時は用途が決まっていることが多い。

例外は自立式のプライバシーテントです。ペグを使わず室内に置けるタイプで、避難所での着替えや授乳に使われます。これは別カテゴリの道具だと考えてください。

2. 焚き火台

都市部では、まず使えません。

災害時に住宅地で火を焚けば、煙の問題があり、消防上の問題もあります。避難所の敷地でも当然できません。

「火が使える」ことと「焚き火ができる」ことは違います。熱源として当てにするなら、前述のカセットガスです。

3. 大型のもの全般

ツーバーナー、大型クーラーボックス、大きなタープ。これらは車があって初めて意味を持ちます。

車が使えるなら強力ですが、道路が寸断されていれば動かせません。 徒歩で持ち出せる重さかどうかで、一度仕分けておくことを勧めます。

車中泊避難という選択肢

災害時、避難所に入らず車内で過ごすという判断をする人がいます。プライバシーが保てる、ペットがいる、といった理由です。

これは有効な選択肢ですが、エコノミークラス症候群と一酸化炭素中毒という固有のリスクがあります。過去の災害でも実際に起きています。平常時に一度やっておくと、災害時の判断が変わります。

転用するときの注意3つ

ここは安全に関わるので、必ず読んでください。

1. ガス缶には使用期限があります

カセットボンベは、製造から約7年以内に使い切るのが目安とされています。ガス漏れを防ぐゴム部品が、使用の有無にかかわらず経時劣化するためです。

製造年月は缶の底に印字されています。 一度、備蓄している缶を確認してみてください。

だからこそ、メーカー自身がローリングストックでの備蓄を推奨しています。 買って置いておくのではなく、鍋や焼肉で古いものから使い、買い足す。この形が最も確実です。

初心者がやりがちな失敗

防災を意識して、カセットボンベを3本まとめて買い、非常用の箱に入れて押し入れにしまう。「これで備えは済んだ」と思う。

数年後、地震があって箱を開ける。缶はある。ところが底の製造年月を見ると、7年より前の日付が刻まれている。

ガスは減っていません。劣化しているのはガスを止めているゴム部品のほうです。 そして使うかどうかを迷っている時間は、いちばん余裕がないときに発生します。

「しまい込んだ瞬間から劣化が始まる」のが、備蓄品の厄介なところです。だから普段使うものを選び、回していく。

2. 屋内でガス機器を使うと一酸化炭素中毒の危険があります

これがいちばん重大です。

締め切った室内で燃焼器具を使うと、酸素が減り、不完全燃焼で一酸化炭素が発生します。 一酸化炭素は無色無臭で、気づいたときには動けなくなっています。

テントの中も同じです。 「屋外だから」は理由になりません。

使うときは必ず換気してください。 そして炭や練炭を屋内で使うのは、絶対にやめてください。

3. 電池は液漏れします

長期間入れっぱなしにした乾電池は液漏れし、機器そのものを壊します。

いざというときに使えなければ、備えていないのと同じです。電池は本体から抜いて、別に保管してください。ヘッドライトやランタンを備蓄する場合は、ここを忘れないように。

そして電池そのものにも使用推奨期限があります。 未使用でも自然放電するので、こちらもローリングストックの対象です。リモコンや時計で普段から消費して、買い足す。

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この記事で挙げたヘッドライトは単4電池でも動きます。 充電池が切れても、単4を3本入れれば復帰できる。停電が長引くほど、この「乾電池でも動く」という一点が効いてきます。

まとめ

  • キャンプ道具は「電気・ガス・水道が無い前提」の道具なので、防災と相性がいい
  • 効くのは ①カセットガスのバーナー ②ヘッドライト ③ランタン ④寝袋 ⑤マット
  • 食料の備蓄は、熱源とセットでなければ完成しない
  • CB缶はガスそのものをローリングストックできる。OD缶にはできない
  • マットが最も過小評価されている。床の冷えは寝袋では防げない
  • 期待ほどではないのは ①テント ②焚き火台 ③大型のもの
  • ガス缶は製造から約7年が目安。缶底に製造年月がある
  • 屋内でのガス機器は一酸化炭素中毒の危険。必ず換気を
  • 電池は抜いて保管する

「防災のために買う」と考えると、身構えるし、置き場所にも困ります。普段のキャンプで使うものを、少し多めに持っておく。 そのほうが続きます。

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最後にひとつ伺わせてください。あなたの家にあるガス缶、製造年月を見たことはありますか? よければコメントで教えてください。

ソロキャンプ初心者に必要なもの9つ|最低限そろえる道具と予算

本記事は広告を含みます(楽天アフィリエイト)。

ソロキャンプ初心者に必要なもの9つ 最低限そろえる道具

「ソロキャンプを始めよう」と思って道具リストを検索すると、たいてい30個とか43個とかの一覧が出てきます。

そして、だいたいそこで止まります。

多すぎるからです。全部揃えたら10万円を超えるし、そもそもどれが「絶対いる」もので、どれが「あったら便利」なものなのか、リストの見た目からは区別がつきません。

この記事では逆のことをします。最初の1泊で本当に必要な道具を9つまで削って、その9つそれぞれについて「初心者がどこで間違えるか」だけを書きます。

商品を並べる前に、選ぶ基準を持ってもらうのが目的です。基準さえあれば、セールでもふるさと納税でも、自分で正しく選べるようになります。

目次

結論:最初の1泊に必要なのは9つ

#道具優先度予算の目安
1テント必須8,000〜25,000円
2寝袋(シュラフ)必須6,000〜20,000円
3マット必須3,000〜12,000円
4ヘッドライト必須1,500〜4,000円
5ランタン必須3,000〜8,000円
6バーナー(シングルバーナー)必須3,000〜8,000円
7クッカー・食器必須2,000〜6,000円
8チェアほぼ必須4,000〜12,000円
9テーブルほぼ必須3,000〜10,000円
焚き火台2回目でいい5,000〜15,000円

焚き火台をリストから外していることに驚いたかもしれません。理由は後述しますが、焚き火は「ソロキャンプの目的」ではあっても「1泊するための必需品」ではないからです。1回目に無理して買うより、一度泊まってから自分の焚き火スタイルに合うものを買ったほうが失敗しません。


1. テント:「1人用」を買うと失敗する

ソロキャンプなのだから1人用でいい、と考えるのが最初の落とし穴です。

選ぶなら2人用(2P)です。 理由は3つあります。

  • ザック、着替え、カメラなどの荷物を室内に置く場所がいる
  • 1人用は「大人1人が横になれる最小寸法」で設計されていて、座って着替えるのもきつい
  • 雨の日はテント内で過ごす時間が長くなる

そのうえで見るのは次の2点です。

前室があるか。 出入り口の外側に張り出した屋根つきスペースのことです。ここに靴を置けるかどうかで、雨の日の快適さがまったく違います。

ダブルウォールか、シングルウォールか。 インナーテントとフライシートが分かれているのがダブルウォール。結露がインナーの内側まで来にくいので、初心者はこちらが無難です。シングルウォールは軽くて設営が速い代わりに、朝起きると内側が濡れていることがあります。

なお、車で行くなら重量はほとんど気にしなくて構いません。軽さは徒歩・電車キャンプのための性能で、そのぶん価格が上がります。車移動なら「重いが丈夫で安い」を選んだほうが得です。

この条件を満たす定番:コールマン ツーリングドームST

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「1人用 2人用」と併記されているとおり、実寸は2人用です。だから荷物を室内に入れられます。前室もあり、インナーとフライが分かれたダブルウォール。この記事で挙げた3条件をそのまま満たします。

なお、スペック表に並ぶ耐水圧の数字が何を意味しているのか——そしてなぜフロアだけ数字が高いのかは、別記事で掘り下げています。

初心者がやりがちな失敗

1人用を買った人が最初につまずくのは、荷物の置き場所です。雨の日、ザックと靴と着替えを抱えたまま、狭い室内で身動きが取れなくなる。前室のないモデルだと、靴を外に出せば朝には濡れていて、中に入れれば寝る場所が削られます。

寸法表で最初に見るべきは「就寝人数」ではなく、前室の奥行きです。

2. 寝袋:「最低使用温度」を信じてはいけない

9つのなかで、ケチると一番後悔するのが寝袋です。

寝袋のスペック表には複数の温度が書かれています。ここを読み違えると、真夏でもないのに眠れない夜を過ごすことになります。

  • 快適温度(コンフォート) … 寒がりな人でも快適に眠れる温度
  • 下限温度(リミット) … 丸まって寝れば、なんとか眠れる温度
  • 限界温度(エクストリーム) … 低体温症にならずに6時間耐えられる温度。眠れる温度ではありません

安い寝袋のパッケージに大きく書かれている「最低使用温度 -5℃」のような表記は、多くの場合この3つ目に近い数字です。見るべきは「快適温度」です。

春・秋も含めて使うなら、快適温度が5℃前後のものを目安にしてください。

中綿は化繊とダウンの2種類です。初心者は化繊で構いません。 安く、濡れても保温力が落ちにくく、自宅の洗濯機で洗えるものもあります。欠点はかさばることですが、車移動なら問題になりません。

快適温度が明記されている一例:コールマン パフォーマーIII / C5

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型番の「C5」が、そのまま快適温度5℃を指しています。この記事で挙げた基準がモデル名になっている珍しい例で、スペック表を読み解く手間がありません。化繊なので洗えます。

なお、同じシリーズに C10(快適温度10℃)もあります。夏だけなら C10、春秋も使うなら C5 です。

初心者がやりがちな失敗

「最低使用温度0℃」と書かれた寝袋を持って、気温5℃の夜のキャンプ場に行く。数字の上では5℃ぶんの余裕があるように見えます。ところが実際には寒くて眠れず、明け方に車へ避難することになる。

0℃は耐えられる下限であって、眠れる温度ではないからです。同じ寝袋の快適温度は8℃前後だったりします。つまり5℃の夜には足りていません。

スペック表で見る数字は、快適温度ひとつだけにしてください。

この温度表記が実際には何を意味しているのか——そして、なぜマットとセットでなければ成立しないのかは、規格の中身までさかのぼって別記事にまとめました。

3. マット:寒さは「下」から来る

初心者がもっとも軽視して、もっとも後悔するのがマットです。

地面は夜のあいだ、体温を奪い続けます。しかも寝袋は体の下では潰れるので、下向きの断熱はほとんど機能しません。 つまり、どれだけ良い寝袋を買っても、マットがなければ背中は冷えます。

指標はR値です。断熱性能の数値で、大きいほど暖かい。

  • R値 2前後 … 夏向け
  • R値 3〜4 … 春・秋も含む3シーズン向け
  • R値 5以上 … 冬向け

タイプは主に3つ。インフレーターマット(バルブを開くと自動で膨らむ)は寝心地と断熱のバランスがよく、最初の1枚に向きます。エアマットは軽くて小さくなりますが、穴が空くと終わりです。クローズドセルマット(銀マット・折りたたみ式)は安く、絶対に壊れません。

予算が厳しければ、銀マットでもいいので必ず1枚敷いてください。 何も敷かないのとは別世界です。

なお、寝袋の温度表記を定めた国際規格 ISO 23537 の試験は、R値4.8のマットの上で行われています。つまり寝袋に書かれた「快適温度5℃」は、それに近い断熱性能のマットがあって初めて成立する数字です。くわしくはこちら

R値を公表しているマット:WAQ インフレーターマット 8cm

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R値6.0を公称しています。 前述の4.8を上回っているので、寝袋の表示温度が成立する前提を満たします。190×65cm・厚さ8cm・2.5kg。バルブを開けば自動で膨らみます。

マットはR値を書いていない商品がかなり多い分野です。「極厚」「冬でも暖かい」といった言葉だけの商品は、比べるための情報を出していないということなので、候補から外して構いません。

R値がどういう数字なのか、そしてインフレーター・エア・クローズドセルをどう使い分けるかは、別記事にまとめました。

4. ヘッドライト:ランタンより先に買う

道具リストで軽く扱われがちですが、優先度はランタンより上です。

理由は単純で、両手が空くからです。暗くなってからのペグ打ち、調理、トイレまでの移動、寝る前の荷物整理。どれもランタンを片手に持ったままではできません。

明るさは100〜200ルーメンあれば十分です。それより気にしてほしいのは次の2つ。

  • 赤色灯モードがあるか … 夜中に点けても目が眩まず、他のキャンパーにも迷惑になりにくい
  • 電源方式 … USB充電式は経済的ですが、電池切れ=終了。乾電池式は予備を持てば復帰できます

条件を両方満たす:ジェントス WS-243HD

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上に挙げた2つの条件を、両方満たしている数少ないモデルです。

赤色サブLEDを搭載しています。メーカー公称は白色が580ルーメン(High)/ 260(Mid)/ 35(Eco)、赤色サブが10ルーメン。夜中にトイレへ行くときは、この赤色だけで足ります。

そして専用充電池と単4電池の両方が使えます。ふだんは充電池で経済的に、いざというときは単4を3本買えば復帰できる。「充電を忘れて現地で使えない」という初心者の定番の失敗に、逃げ道があります。

点灯時間はHighで2.5時間、Ecoなら25時間。キャンプで使うのはほぼEcoかMidなので、1泊で電池切れになることはまずありません。

5. ランタン:最初は充電式LEDで十分

ガスランタンやガソリンランタンは雰囲気がありますが、1回目には要りません。 燃料の管理、マントルの空焼き、そして火傷のリスクがあります。

最初は充電式のLEDランタンにしてください。暖色に切り替えられるものを選ぶと、白色だけのものよりずっと居心地がよくなります。

明るさは200〜400ルーメンが目安。ソロのテントサイトなら、これ以上明るくても持て余します。

そして地味に効くのが吊り下げられるか。テント内で床に置くと影ができて使いにくいので、フックやループがついているものを選んでください。

ルーメンという数字が何を表しているのか、そしてなぜ明るすぎると逆に見えなくなるのかは別記事に書きました。置き方まで含めた話です。

入門用なら3,000〜5,000円のクラスで十分です。

まずはこのクラスから:充電式・暖色・吊り下げ可

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この記事で挙げた条件(充電式・暖色あり・吊り下げられる)を満たして、3,000円台です。

最大1000ルーメンと書かれていますが、そこは気にしなくて構いません。調光できるので、ソロなら絞って使います。 明るさが要るのは、暗くなってからの撤収や停電のときで、そういう場面のために上が広いことに意味があります。

防水はIP44。雨に濡れても平気ですが、水没はさせられないという水準です。テント内やタープ下で使うぶんには十分で、これ以上の防水性能はランタンにはあまり必要ありません。

そのうえで、もし「キャンプ用と防災用を1台で兼ねたい」なら、給電機能つきの上位モデルという選択肢もあります。

ワンランク上/防災兼用:ジェントス EX-300H

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USB給電機能がついたモデルです。1万円前後するので、この記事の予算表からは外れます。「キャンプにも使えて、停電のときも使える1台」を探している人向けの選択肢として挙げておきます。

キャンプだけが目的なら、無理にこの価格帯を選ぶ必要はありません。

6. バーナー:初心者はCB缶を選ぶ

シングルバーナーの燃料は大きく2種類あります。

CB缶(カセットボンベ)は、家庭用のカセットコンロと同じ細長い缶です。OD缶(アウトドア缶)は、丸くて背の低いキャンプ用の缶です。

初心者にはCB缶を勧めます。 理由は入手性とコストです。

  • コンビニ、スーパー、ホームセンター、100円ショップで買える
  • 1本あたりの単価がOD缶よりかなり安い
  • 忘れても現地近くで調達できる

OD缶は寒さに強く、本体もコンパクトですが、扱っている店が限られます。「登山もする」「冬キャンプをする」段階になってから検討すれば十分です。

なお、カセットコンロ用のガス缶を、専用でないバーナーに使うのは危険です。 必ずそのバーナーが指定する規格の缶を使ってください。

CB缶バーナーの定番:SOTO レギュレーターストーブ ST-310

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「レギュレーター」というのは、気温が下がってガスの出が悪くなるのを補正する機構のことです。CB缶の弱点はまさに寒さなので、そこを埋めている点でこの価格帯では突出しています。ゴトクが広く、メスティンも安定して載ります。

CB缶とOD缶の違い(そしてOD缶が寒さに強い本当の理由)は、別記事で缶の構造まで掘り下げています。ガス缶の危険な使い方もそちらにまとめました。

7. クッカー・食器:メスティン1つから始めていい

最初から鍋・フライパン・ケトルを揃える必要はありません。

メスティン(アルミの箱型飯盒)が1つあれば、炊飯、煮る、蒸す、麺を茹でるまで一通りできます。そこにシェラカップを1つ足せば、器にもマグにも計量カップにもなります。

これで2,000円台から始められます。

注意点が1つ。アルミ製のメスティンには、バリ取り(フチのざらつきをヤスリで削る)とシーズニング(米のとぎ汁で煮て被膜をつくる)が必要な製品があります。最初から加工済みのものを選ぶと手間が省けます。

元祖:トランギア メスティン TR-210

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容量750ml、1.8合まで炊けます。ソロなら十分すぎる量で、余ったぶんは翌朝の分になります。本体155gと軽い。

このジャンルの元祖で、後発品の寸法はたいていこれに合わせて作られています。メスティン用の折りたたみハンドルやまな板、収納ケースといった周辺品が最も豊富なのも、結局この型番です。

もう1つだけ:シェラカップ

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450mlの深型。目盛が付いているので、さきほど書いた「計量カップにもなる」がそのまま成立します。メスティンで米を炊くときの水の量も、これで測れます。

直火にかけられるのも効きます。スープを温める、湯を沸かす、といった小さい作業を、わざわざ鍋を出さずに済ませられる。重ねて収納できるので、2つ持っても場所を取りません。

ひとつだけ弱点があります。ステンレスは熱を伝えるので、熱い飲み物を入れると縁が熱くて口をつけられません。 これはこの製品に限らず、ステンレス製シェラカップ全般の話です。飲み物用に使うなら、縁にシリコンのカバーを付けるか、チタン製を選ぶことになります。

食器・調理・計量を兼ねる道具だと考えると、1,000円台の出費としては効率がいい買い物です。

8&9. チェアとテーブル:必ず「セット」で考える

この2つは単体で選んではいけません。高さが合っていないと、両方とも使いにくくなるからです。

キャンプのスタイルは2つあります。

  • ロースタイル … 座面の高さ25〜35cm、テーブル高さ30〜40cm。地面や焚き火に近く、落ち着く。ソロキャンプの主流
  • ハイスタイル … 座面40cm前後、テーブル高さ60〜70cm。立ち座りが楽で、調理しやすい

どちらを選んでもいいので、チェアとテーブルで揃えてください。 ロースタイルのチェアにハイスタイルのテーブルを合わせると、食事のたびに肩が上がって疲れます。

テーブルについてもう1点。焚き火やバーナーの近くで使うなら、天板は金属(アルミ・ステンレス)を選んでください。 木製や樹脂の天板に熱い鍋を直接置くと跡が残ります。

ハイスタイルを選ぶなら:コールマン アームチェア

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メーカー公称で座面高43cm。つまりこれはハイスタイルです。両アームにカップホルダーがあり、立ち座りが楽なので、膝や腰に不安がある人には素直に快適です。

ただし、この記事で繰り返している原則がそのまま効きます。これを選んだら、テーブルは高さ60〜70cmで揃えてください。 高さ40cmのローテーブルと組むと、天板が膝より下に来て使えません。

購入前に見ておく数字が2つあります。

  • 耐荷重80kg … アウトドアチェアとしては高いほうではありません。体重が近い方は別のモデルを検討してください
  • 収納時87cm … たたんでも87cmの棒状になります。重量も約2.9kgあるので、バイクや電車で運ぶ想定なら向きません。車移動が前提の道具です

高さで迷わない方法:調整できるテーブルを選ぶ

チェアとテーブルの高さを合わせる話をしてきましたが、そもそも合わせなくていい方法があります。高さを変えられるテーブルを選ぶことです。

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天板が金属メッシュなので、この記事で書いた「焚き火の近くなら金属天板」という条件を満たします。熱い鍋を直接置いても跡が残りません。水はけがよく、汚れも落としやすい。

そして高さを変えられるので、あとからチェアを買い替えても付き合えます。 ロースタイルに転向しても使えるということです。

購入前に確認してほしいのが2つあります。

サイズを間違えないこと。 この商品は3種類あります。いちばん大きい130×60cmは重量が約4.9kg。ソロなら小さいサイズで十分です。大きいほうはファミリー向けの寸法で、1人で運ぶには重い。

高さの段階を商品ページで確認すること。 何cmに設定できるかは商品ページの仕様表に出ています。あなたのチェアの座面高に合う段階があるかを、買う前に必ず見てください。座面43cmなら60〜70cm、座面30cmなら40cm前後です。

初心者がやりがちな失敗

ロースタイルとハイスタイルの混在は、買うときには気づかず、現地で気づく失敗です。座面30cmのローチェアに、高さ70cmのテーブル。座ると天板が胸の高さに来て、食事のたびに肘を上げることになります。

やっかいなのは、どちらも単体では欠陥のない、いい製品だということです。だから返品もしにくい。

チェアとテーブルは、必ず同じ日に、同じスタイルで選んでください。


予算の配分:迷ったら「寝る道具に6割」

同じ5万円でも、配分を間違えると満足度がまるで変わります。

原則はひとつです。テント・寝袋・マットの3点に、予算の6割をかけてください。

理由は身も蓋もありません。眠れなかったキャンプは、二度目がないからです。 チェアが多少座り心地が悪くても、その日は乗り切れます。でも寒くて眠れない夜を過ごすと、キャンプそのものが嫌いになります。

予算寝る道具(テント・寝袋・マット)明かり・火まわり座る・置く
3万円18,000円7,000円5,000円
5万円30,000円12,000円8,000円
10万円55,000円25,000円20,000円

3万円のプランでも1泊は問題なくできます。足りないと感じた部分だけ、あとから買い替えていくほうが、最初に全部いいものを買うより結果的に無駄が少なくなります。

なお、この記事で名前を挙げている製品は、おおむね5万円プランの水準です。3万円で組む場合は、テントとチェアをより安いモデルに置き換えてください。そこを削っても、寝袋とマットさえ妥協しなければ夜は越せます。

そしてもうひとつ、買う時期でも支払う額は変わります。

楽天スーパーSALEは年4回(3月・6月・9月・12月)です。一式そろえる金額帯は、ちょうど買い回りポイントの上限に近いところに当たります。上限があることを知らずに買い足すと、かえって損をします。

逆に、最初は買わなくていいもの5つ

道具リストによく載っていますが、1回目には不要なものです。

  1. 大型クーラーボックス … ソロなら保冷バッグ+凍らせたペットボトルで足ります。ペットボトルは溶けたら飲めます(後述)
  2. タープ … テントの前室でしのげます。設営難度も高く、1回目に張ろうとすると日が暮れます
  3. 焚き火台 … 前述のとおり2回目でいい。加えて焚き火シート(地面保護)が別途必要な場所が多く、セットで考えないと現地で使えません
  4. 調理器具一式 … 包丁・まな板は家のものを持っていけます。しばらくはカット済み食材で足ります
  5. 高価なナイフ … 憧れる気持ちはわかりますが、1回目に使う場面はほぼありません

ただし、リストに載っていないのに絶対いるものがあります。

  • ペグとハンマー … テント付属のペグは細くて曲がります。買い替えは早い段階で効きます(後述)
  • ゴミ袋 … ほとんどのキャンプ場はゴミを持ち帰りです
  • モバイルバッテリー … 地図・連絡・ライトのすべてがスマホ頼りになります
  • 軍手またはグローブ … ペグ打ち、熱い鍋、薪の扱いで必ず使います

大型クーラーボックスの代わりに

先ほど「1回目には要らない」と書いたクーラーボックスですが、冷たいものを持っていく手段そのものは必要です。ソロなら、折りたためる保冷バッグで足ります。

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ソロ1泊なら15L前後が目安です。5Lは飲み物だけ、20Lは2人分か夏場向け。

ソフトタイプの利点は帰りに畳めることです。ハードのクーラーボックスは中身が空になっても大きさが変わりませんが、こちらは荷物になりません。ソロキャンプでは、帰りの積載のほうが問題になりがちです。

なお、保冷力の見方についてひとつ。「保冷効力」という数値が書かれていることがあります。 これは日本産業規格(JIS)の試験方法を準用したもので、室温40℃の環境に、容量の80%の水(1〜4℃)を入れて、8時間後に何℃になったかを測ったものです。

つまり基準は8時間です。「保冷○日」といった宣伝上の表現とは別の数字なので、混同しないでください。数値で比べたいなら「保冷効力」を探すのが正確です。

付属のペグは、早めに卒業する

道具リストに載らないのに、買い替えると体感が一番変わるのがペグです。

テントに付属しているのは、細いアルミやプラスチックのピンであることが多く、硬い地面や石に当たると簡単に曲がります。 曲がったペグは抜くのも一苦労です。

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長さ30cm、本数は12・16・24本から選べます。収納バッグ、夜に足を引っかけないための反射ロープ、頭に被せる安全キャップが付いています。

ここで用語をひとつ整理しておきます。ペグの商品名には「鍛造」と「鋳造」が並んで書かれていることがありますが、この2つは別の製法です。

  • 鍛造(たんぞう) … 金属を叩いて成形する。粘りがあって、硬い地面でも曲がりにくく折れにくい。1本300〜500円
  • 鋳造(ちゅうぞう) … 溶かして型に流し込む。硬いが脆く、石に当たると欠けることがある
  • スチールペグ … 上記より安価。強い力では曲がるが、付属のアルミペグとは比べものになりません

つまり、商品名に両方書いてあるときは、どちらなのか商品ページで確かめてください。 名前だけでは判断できません。

ただし現実的な話をすると、最初の1セットはここまで気にしなくて構いません。 30cmのスチールペグでも、付属品からの差は歴然としています。硬い地面で曲げてしまう経験をしてから、本格的な鍛造ペグ(エリッゼステーク、スノーピークのソリッドステークなど)に上げれば十分です。

ハンマーは別に要ります

30cmのペグを、手や石で打ち込むのは無理です。

選ぶときに見るのは3つだけです。

打面が銅かどうか。 銅は柔らかいので、打撃の衝撃を吸収し、ペグの頭を潰しません。 鉄のハンマーで鉄のペグを叩くと、跳ね返りが手に来て、ペグの頭も傷みます。

ヘッドを交換できるか。 銅は柔らかいぶん摩耗します。ヘッドだけ交換できる設計なら、本体は使い続けられます。使い捨てになりません。

ペグ抜きが付いているか。 これが実は一番効きます。打ち込んだペグを抜くのは、打つより大変です。 フックがあれば引っ掛けて抜けますが、無いと撤収のたびに地面と格闘することになります。

そしてこの3つは、2,500円前後で全部そろいます。

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銅ヘッド、重量580g、ペグ抜き機能つき、ヘッド交換可、収納袋付き。上の3条件を全部満たして2,500円前後です。最初の1本はこれで十分すぎます。

上を見るとどうなるか

参考までに、この分野の定番も挙げておきます。

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スノーピークのPRO.C。重量670g、木製ハンドル、燕三条製です。銅ヘッドの交換もペグ抜きも備えていて、条件そのものは上の2,500円のものと同じです。

では何が違うのか。重量と、つくりの精度と、長く使ったときの耐久性です。

軽すぎるハンマーは打ち込めません。 腕の力ではなく、ヘッドの重さで打つ道具だからです。580gと670gの差は、硬い地面では体感に出ます。

とはいえ、1回目には要りません。 この記事の予算表からも完全に外れます。それでも載せたのは、上を知っておくと下を選ぶときの基準になるからです。

この節の結論はこうです。2,500円のもので、条件は満たせています。

買う順番:1回目はレンタルという選択肢もある

「キャンプが自分に合うかまだわからない」段階なら、1回目はレンタルつきのキャンプ場を使うのが一番安上がりです。

そのキャンプ場をどう選ぶかは、道具選びと同じくらい初回の印象を左右します。別記事にまとめました。

道具一式のレンタルは5,000〜10,000円程度が相場です。10万円を投じる前に、自分がロースタイルとハイスタイルのどちらが好きか、寒さにどれくらい弱いかを知っておけると、そのあとの買い物の精度が上がります。

そのうえでの推奨順序です。

  1. 寝袋・マット … レンタルでも「寝具だけは自分のものがいい」という人が多い。ここから買う
  2. テント … 好みが固まってから
  3. チェア・テーブル … スタイルを決めてからセットで
  4. 焚き火台 … 2回目以降
  5. こだわりの道具 … 3回目以降

まとめ

  • 最初に必要なのは9つ。焚き火台は2回目でいい
  • テントは2人用を選ぶ
  • 寝袋は「最低使用温度」ではなく快適温度5℃前後を見る
  • マットを省略しない。寒さは下から来る
  • ヘッドライトはランタンより優先
  • バーナーはCB缶が扱いやすい
  • チェアとテーブルは高さを揃えてセットで
  • 予算は寝る道具に6割

道具は、増やすより減らすほうが難しいものです。最初の1泊は、この9つだけ持って行ってみてください。足りなかったものが、あなたにとって本当に必要な10個目です。

関連記事

なお服装はこの9つに入れていません。 手持ちの服で始められるからです。ただし秋以降は素材で差が出るので、そこだけ別記事にしました。

道具ごとの解説について

このブログでは、この記事を入口にして、道具ごとの選び方を1つずつ掘り下げています。 上の関連記事から読めます。

まだ書いていないのは、テントポールの素材(アルミとグラスファイバーで何が変わるか)と、チェアとテーブルの高さの合わせ方です。公開したら、この記事からもリンクを張ります。


最後に質問です。あなたが最初に買った(買おうとしている)道具は何ですか? よければコメントで教えてください。次の記事の参考にします。

ランタンのルーメンの目安|明るすぎると手元が見えません

本記事は広告を含みます(楽天アフィリエイト)。

ランタンのルーメンの目安 明るすぎると手元が見えない

ランタンを買おうとすると、まず目に入るのがルーメン(lm)という数字です。

500、1000、2000。大きいほうが良さそうに見えます。

ところが実際にキャンプ場で使うと、明るいランタンほど手元が見えなくなるということが起きます。数字を上げれば快適になる、という話ではありません。

この記事では、ルーメンが何を表している数字なのか、そして明るさより大事な3つのことを書きます。

道具の全体像はこちらにまとめています。

ルーメンは「明るさ」ではありません

ここが出発点です。

ルーメン(lm)は、光源が全方向に出す光の総量です。その光が当たった面がどれだけ明るいかは、ルーメンでは決まりません。

面の明るさを表す単位は別にあって、ルクス(lx)といいます。そしてルクスは、光源からの距離の2乗に反比例して落ちます。

単位何を表すか
ルーメン(lm)光源が出す光の総量
ルクス(lx)ある面が受け取る明るさ

距離が2倍になれば、面の明るさは4分の1です。3倍なら9分の1。

明るさは距離の2乗で落ちる 1m 2m 3mの比較図
同じ光が広い面に散らばるので、1か所あたりは薄くなる。

つまり、同じ1000ルーメンのランタンでも、頭上に吊るすか、テーブルに置くかで、手元の明るさはまったく変わります。

「何ルーメン必要か」という問いには、置き方を決めないと答えが出ません。

ルーメンの表記そのものにも幅があります

もうひとつ知っておくといいのが、カタログのルーメン値は最大出力・点灯直後の数字であることが多い、という点です。

LEDは点灯し続けると発熱し、保護のために出力を落とします。 電池も減ります。だから2時間後の明るさは、箱に書いてある数字より低いのが普通です。

携帯照明の分野にはANSI FL1という測定規格があって、点灯30秒後の明るさと、明るさが初期の10%まで落ちるまでの時間(ランタイム)を分けて表記します。この規格に沿った表記をしている製品は、比較の土台がそろっています。

逆に、規格の記載がなく数字だけが大きい製品は、条件がわかりません。

商品を探していると、2,000円台で「5,200ルーメン」を名乗るヘッドライトのような表記に行き当たります。当ブログでは扱いません。同じ用途の高価格帯の製品でも1,000ルーメン前後だからです。桁が違う数字には、たいてい理由があります。

明るさより大事なこと1:光源を目線に入れない

ここが冒頭の「明るいほど見えなくなる」の正体です。

人の目は、暗さに慣れること(暗順応)で暗い場所を見ています。 完全に慣れるには数十分かかります。

ところが強い光源が視界に直接入ると、瞳孔が閉じます。 その瞬間、光の当たっていない場所は真っ黒に見えます。

だから、1000ルーメンのランタンをテーブルの真ん中に置くと、こうなります。

  • ランタン本体が眩しい
  • 手元は自分の体と手の影になる
  • テントの外は、さっきより暗く見える

初心者がやりがちな失敗

「明るいほうが安心だろう」と、いちばん明るいランタンを買う。テーブルの真ん中に置いて点ける。

眩しい。まぶしいので少し離す。離すと今度は手元が暗い(距離の2乗で落ちるからです)。近づけるとまた眩しい。

そしてトイレに立とうと外を見ると、さっきまで見えていた地面が見えない。 目がランタンの明るさに合わせてしまったからです。

買い替えても解決しません。置き方の問題だからです。

対策は単純です。

ランタンは目線より上に吊るす。 ポールやテントの天井、木の枝でも構いません。光が上から降りてくれば、光源は視界に入らず、影も薄くなります。

吊るせないなら、テーブルの端に置いて、明るさを落とす。 調光できる製品を選ぶ意味はここにあります。

明るさより大事なこと2:明かりを3つに分ける

ひとつの照明ですべてをまかなおうとすると、必ず無理が出ます。役割で分けます。

役割置き場所目安
メイン目線より上に吊るす500〜1000lm・調光できるもの
テーブル手元。低く、端に100〜200lm・暖色
移動・作業頭に着ける200〜300lm

3つ目のヘッドライトだけは、明るさが選ぶ理由ではありません。 本質は両手が空くことです。

暗い中でペグを打つ、火を扱う、トイレに歩く。片手が塞がっているかどうかが、安全に直結します。

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580ルーメン、単4電池と充電池の両方が使えます。 これは地味に効きます。充電を忘れた日でも、コンビニで電池を買えば動くからです。

赤色サブLEDが付いているのも実用的で、赤い光は瞳孔をあまり閉じさせないので、目を暗さに慣れさせたまま手元だけ照らせます。 夜中に起きたときや、他の人がいるサイトで役に立ちます。

明るさより大事なこと3:色

同じルーメンでも、光の色で見え方と過ごしやすさが変わります。

色温度(K:ケルビン)で表されます。数字が低いほど赤っぽく、高いほど青白い。

色温度印象向く場面
2700K前後(電球色・暖色)落ち着くくつろぐ時間・テーブル
5000K前後(昼白色)はっきり見える設営・調理・探し物

そしてもうひとつ、虫の話があります。

多くの虫は、紫外線から青色にかけての短波長の光に集まります。 暖色の光は、この短波長の成分が少ない。だから暖色のほうが虫が寄りにくいというのは、根拠のある話です。

「虫が来ないランタン」ではありません。来にくい、という程度の差です。それでも、夏場のテーブルの上ではこの差が体感できます。

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1000ルーメンで調光でき、暖色です。この記事の基準をひととおり満たしています。USB充電式なので、モバイルバッテリーから充電できます。

なお、防水はIPXという表記で確認してください。 IPX4なら雨や飛沫に耐える、IPX7なら一時的な水没に耐える、という意味です。キャンプならIPX4で足ります。 川で使うのでなければ、そこに費用をかける必要はありません。

燃焼式は、初心者の最初の1台ではありません

ガスやガソリンを燃やすランタンは、明るさも雰囲気も別格です。

ただし、最初の1台としては勧めません。

  • 一酸化炭素が出ます。 テントや車内など、閉じた空間では絶対に使えません
  • 本体が高温になります。 触れば火傷、倒せば火事です
  • マントルの空焼き、燃料の扱いなど、手順を覚える必要があります

LEDにはこのリスクが一切ありません。 明るさも十分です。燃焼式は、キャンプが続くとわかってから、雰囲気のために足すものです。

なお、テント内での燃焼器具の使用は、ランタンに限らず危険です。 暖房目的の使用も含めて、一酸化炭素中毒の事故は毎年起きています。

電池式か、充電式か

意外に判断が分かれるところです。

充電式(リチウムイオン) … 軽く、繰り返し使えて、ランニングコストがかからない。ただし低温で容量が落ちます。 冬は体感で持ちが短くなります。そして充電を切らしたら現地でどうにもなりません。

乾電池式 … かさばるし、電池代がかかる。ただし予備を持てば無限に延長できます。

秋以降のキャンプなら、メインは充電式、ヘッドライトは電池も使える方式という組み合わせが現実的です。今回挙げたヘッドライトが両対応なのは、この意味で都合がいい。

そして防災の視点では、乾電池式のほうが強いです。停電が数日続く状況では、充電できないからです。

車の中で使うとき

車中泊では、置き型ランタンより吊るすタイプが向きます。 天井のアシストグリップに引っ掛けられるからです。

そして明るさは絞ってください。 車内は狭いので、光が近い。500ルーメンでも眩しすぎます。

なおキャンプ場では、明るすぎる照明は迷惑になることがあります。 隣のテントに光が直接入る向きは避けてください。区画の取り方については別記事に書きました。

まとめ

  • ルーメンは光源が出す光の総量。 面の明るさ(ルクス)は距離の2乗で落ちる
  • だから「何ルーメン必要か」は、置き方を決めないと答えが出ません
  • カタログの数字は点灯直後・最大出力。ANSI FL1の記載があれば比較できる
  • 強い光を目に入れると、他が見えなくなる。 ランタンは目線より上に吊るす
  • 明かりは3つに分ける … メイン(吊るす)/テーブル(暖色・低く)/ヘッドライト
  • ヘッドライトの本質は明るさではなく、両手が空くこと
  • 暖色は虫が寄りにくい。 短波長の成分が少ないから
  • 防水はIPX4で足ります
  • 燃焼式は最初の1台にしない。 一酸化炭素と高温のリスクがある

明るさの数字は、上げても解決しません。 置き方を決めてから、必要な数字を選んでください。

関連記事


最後にひとつ伺わせてください。キャンプで「明るすぎて困った」ことはありますか? どんな場面だったか、よければコメントで教えてください。

秋キャンプの服装|綿と化繊、どちらも正しい理由と重ね方

本記事は広告を含みます(楽天アフィリエイト)。

キャンプの服装 綿と化繊どちらを着るか

キャンプの服装を調べると、正反対のことが書いてあります。

  • 「綿はやめろ。濡れると乾かず、体温を奪われる」
  • 「化繊はやめろ。火の粉で穴が開く」

どちらも間違っていません。そして、どちらもキャンプでは同時に起こります。

だから「綿と化繊、どちらがいいか」という問いには答えがありません。正しい問いは「どこに何を着るか」です。

この記事では、2つの常識がなぜ矛盾するのかを説明したうえで、層ごとに何を選ぶかを書きます。

道具のほうは別記事にまとめています。

常識1:綿は濡れると体温を奪う

登山の世界には「綿は死ぬ」という言い方があります。強い言葉ですが、理屈は単純です。

綿は水をよく吸い、そして乾きません。

汗をかく。綿のシャツが吸う。休憩で体を動かすのをやめる。濡れたシャツが肌に張りついたまま、体温を奪い続ける。

化繊はこれが起きません。繊維そのものが水分を含まないので、濡れても乾きが速い。汗をかいても、すぐ乾いて体温を奪われにくい。

だから登山では、肌に触れる層に綿を使わないのが基本になっています。

キャンプでも同じです。設営で汗をかき、日が落ちて気温が下がる。このとき綿の下着を着ていると、体が冷え続けます。

常識2:化繊は火の粉で穴が開く

ところが焚き火の前では、話が逆になります。

化繊(ポリエステル、ナイロン)は熱に弱く、火の粉が触れると溶けます。 穴が開くだけならまだしも、溶けた繊維が肌に張りつくと火傷につながります。

綿やウールはこうなりません。火の粉が乗ってもすぐには燃えないので、払えば済みます。

だから焚き火の記事では「綿を着ろ」と書かれます。これも正しい。

両方が同時に起きるのがキャンプです

整理すると、こうなります。

濡れへの強さ火の粉への強さ
綿✗ 乾かない○ 溶けない
化繊○ 乾きが速い✗ 溶ける
ウール○ 濡れても保温○ 溶けにくい

そしてキャンプの一日は、汗をかく時間と、焚き火の前に座る時間の両方でできています。

どちらか一方の素材で通すことはできません。

レイヤリングの3層 内側は化繊 外側は綿の断面図
汗は内側から外へ抜け、火の粉は一番外で止まる。だから内側は濡れ対策に振り切れる。

答え:層で役割を分ける

解決策は、素材を選ぶことではなく着る位置を分けることです。

肌に近い層(ベースレイヤー)= 化繊かウール

ここは濡れとの戦いです。 汗を吸って乾かない綿は避けてください。

化繊なら安く手に入ります。ウールは高いですが、濡れても保温力が落ちにくく、においも出にくいという強みがあります。

焚き火の火の粉は、いちばん外側の服が止めます。 だから内側は濡れ対策に振り切って構いません。

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長袖の化繊ベースレイヤーです。ワッフル状の編み地で、生地と肌のあいだにわずかな隙間ができる作りになっています。

ただし正直に書くと、この価格帯は初心者に必須ではありません。

ベースレイヤーに求めるのは「綿でないこと」と「乾くこと」の2点だけで、これはスポーツ用の速乾インナーでも満たせます。最初の1枚は安いもので構いません。

価格が変えるのは、着心地・においにくさ・へたりにくさです。同じ服を何度も着るようになってから考えれば足ります。

中間の層(ミドルレイヤー)= 保温

フリースや薄手のダウンなど。空気を含んで体温を保つ層です。

ここも火の粉が直接当たらないので、化繊で問題ありません。

フリースは「起毛させた化繊」です。毛足のあいだに空気を抱えるので暖かく、しかも繊維自体は水を含まないので、濡れても暖かさが残ります。ベースレイヤーと同じ理屈です。

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選ぶときのコツはひとつだけで、前が開くジップアップにしてください。

キャンプは動く時間と止まっている時間の差が激しく、暑くなったときに開けるだけで熱を逃がせるのは大きい。かぶりタイプだと、脱ぐしかありません。

薄手のフリース1枚は春・秋・冬のどれでも使えます。 この層は買う優先度が高いところです。

なお繰り返しになりますが、フリースを一番外に着て焚き火の前に座るのは避けてください。 化繊なので火の粉で溶けます。上に1枚羽織る前提の層です。

いちばん外の層(アウター)= 綿・ウール・難燃素材

火の粉を受けるのはこの層だけです。 だからここに綿やウール、または難燃加工されたウェアを持ってきます。

つまり、こういう組み合わせです。

内側は化繊で濡れに強く、外側は綿で火の粉に強く。

これで2つの常識が両立します。

初心者がやりがちな失敗

焚き火をする予定だったので、記事で読んだとおり「綿がいい」と考えて、綿のTシャツを一番下に着る。 上にフリースを重ねる。

設営で汗をかく。日が落ちる。焚き火の前に座ると、正面は暖かいのに背中がやけに寒い。

原因は、いちばん下の綿のTシャツが汗を吸ったまま乾いていないことです。火の粉対策の素材を、火の粉が当たらない場所に着てしまった。

「綿がいい」も「化繊がいい」も、どの層の話なのかを抜きにすると逆効果になります。

秋以降に効く2つ

脱ぎ着できる形にする

キャンプの一日は、動く時間と止まっている時間の差が激しいです。設営中は汗をかき、座っていると冷える。

だから1枚の厚い服より、薄い服を複数のほうが対応できます。汗をかく前に脱ぐ、止まる前に着る。これが基本です。

末端を守る

体の中心を厚着しても、手足と首と頭が冷えていると寒く感じます。 そして装備としては軽い。

  • ニット帽 … 頭から逃げる熱を止める。寝るときにも使えます
  • 手袋 … ペグ打ちや熱い鍋にも使うので、どのみち必要です
  • 厚手の靴下 … 地面からの冷えは足から来ます

上着を1枚増やすより、この3つのほうが効きます。

なかでもニット帽は、寝るときにも使えます。 寝袋のフードから頭が出るぶんを塞げるので、秋以降は体感が変わります。

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選ぶときは耳まで隠れる深さがあるかを見てください。浅いものはデザイン優先で、実際に冷えるのは耳です。

ひとつ注意で、アクリルなどの化繊のニット帽も火の粉で溶けます。 焚き火に前かがみで近づくと、いちばん先に火に近づくのは頭です。

寝るときの服装

意外に間違えやすいところです。

厚着したまま寝袋に入ると、かえって寒くなることがあります。

寝袋は中綿が空気を含んでふくらむことで断熱します。厚手のダウンを着たまま入ると、中綿が押し潰されて空気の層が減る。

中で着るなら薄手を重ねる。そして厚いものは、寝袋の上に掛けるほうが効きます。

寝袋とマットの選び方は別記事に書きました。

まとめ

  • 「綿はダメ」も「化繊はダメ」も、どちらも正しい。 話している層が違うだけ
  • 綿 … 濡れると乾かない。ただし火の粉には強い
  • 化繊 … 乾きが速い。ただし火の粉で溶ける
  • ウール … 両方に強い。ただし高い
  • 内側は化繊、外側は綿。 火の粉を受けるのは外側だけ
  • 1枚の厚着より、薄い服を複数。 動く時間と止まる時間の差が大きいから
  • 末端(頭・手・足)を守るほうが、上着1枚より効く
  • フリースはジップアップを選ぶ。 暑くなったときに開けるだけで済む
  • 寝袋の中で厚着しない。 中綿が潰れて逆効果

道具と同じで、服も「何がいいか」より「どこに何を使うか」です。素材そのものに良し悪しはありません。

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最後にひとつ伺わせてください。焚き火で服に穴を開けたことはありますか? どんな服だったか、よければコメントで教えてください。

マットのR値とは?目安とインフレーター・エア・クローズドセルの違い

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マットのR値とは 目安はいくつか

キャンプマットには3つの種類があります。

インフレーターエアマットクローズドセル

売り場では厚さと値段で比べたくなりますが、この3つは寝心地ではなく仕組みが違います。 そして仕組みが違うぶん、暖かさの出方も、壊れ方も違います。

判断の基準になるのが R値 という数字です。ただしこの数字には、知らずに比べると間違える落とし穴があります。

なぜマットが重要なのかは別記事に書きました。この記事はその続きです。

R値とは「熱の伝わりにくさ」

R値は Thermal Resistance(熱抵抗値) の頭文字です。

熱がどれだけ伝わりにくいかを表す数字で、大きいほど断熱性能が高い。マットの場合は「地面に体温を奪われにくい」ことを意味します。

目安はこうです。

R値使える季節
1前後夏でも地面が冷たい日は厳しい
2前後夏向け
3〜4春・秋
4.8寝袋の温度表記が前提にしている水準
5以上

4.8という中途半端な数字は、寝袋の国際規格 ISO 23537 の試験条件です。寝袋に書かれた快適温度は、この水準のマットがあって初めて成立します。

本題:2020年まで、R値はメーカー間で比較できませんでした

ここが落とし穴です。

R値の測定方法が統一されたのは、比較的最近のことです。

それ以前は、各メーカーが独自の方法で測っていました。 同じ会社の製品どうしなら比べられる。しかし別の会社の製品と並べても、厳密には比較になりません。

これを解決したのが ASTM F3340 という規格です。2019年に策定され、2020年ごろから各社のカタログに載るようになりました。 アメリカの大手アウトドア店REIが、自社で扱うマットにこの表示を必須としたことで、業界全体に広がっています。

つまり、こういうことです。

「R値6.0」と「R値5.0」を比べていいのは、両方がASTM F3340で測られているときだけ。

古い製品や、測定方法を明記していない製品の数字は、同じ土俵に乗っていない可能性があります。

商品ページに 「ASTM F3340」 の記載があるかどうか。ここを見る癖をつけると、数字の意味が変わってきます。

3つのタイプ

R値の読み方がわかったところで、構造の違いを見ます。

インフレーターエアマットクローズドセル
中身ウレタン+空気空気のみ発泡樹脂
断熱
寝心地
収納×(かさばる)
壊れ方穴が開くと終わり穴が開くと終わり壊れない
準備バルブを開けるだけ空気を入れる広げるだけ

インフレーター:最初の1枚に向く

バルブを開けると、中のウレタンが復元しながら自動で空気を吸い込みます。

断熱と寝心地のバランスが最も良いタイプです。ウレタンが入っているぶん、空気の対流が抑えられて熱が逃げにくい。

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公称R値6.0。 前述の4.8を上回っているので、寝袋の表示温度が成立する前提を満たします。厚さ8cm、190×65cm、2.5kg。

エアマット:厚くても暖かいとは限らない

ここがいちばん誤解されるところです。

空気を入れて膨らませるタイプで、軽くて、小さくまとまって、寝心地も良い。 数字だけ見れば理想的に思えます。

ところが断熱では不利です。理由は対流——袋の中の空気が、温かい側から冷たい側へ動いて熱を運んでしまうからです。

厚いほど中の空気の層が大きくなるので、対流も起きやすくなります。 「厚い=暖かい」が成立しないのは、このためです。

初心者がやりがちな失敗

厚さ10cmのエアマットと、厚さ8cmのインフレーターマット。厚いほうが暖かいはずだと考えて、10cmを選ぶ。 寝てみると実際ふかふかで、寝心地も良い。

ところが秋になると、背中だけが冷える。

寝心地と断熱は、別の性能です。 空気だけの層は、厚くなるほど内部で対流が起きて熱を運びます。ウレタンが入った8cmのほうが、空気の動きを止めるぶん暖かい。

「厚さ」で選ぶと、この違いが見えません。 見るべき数字はR値のほうです。

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エアマットの代表として挙げますが、この記事の基準に照らすと注意点があります。

商品ページにR値の記載がありません。 これはこの製品に限った話ではなく、エアマット全般に多い傾向です。断熱を売りにしていないカテゴリだからとも言えます。

高さ40cm、シングルで約6.9kg。バッテリー式のポンプを内蔵していて電源が要らないのは実用的な利点です。ただしソロキャンプの積載には重く、寒い時期の断熱も期待できません。

向いているのは、夏のキャンプ、電源のある場所、そして来客用です。商品名にも「来客用」とあります。季節と用途を絞れば良い道具ですが、「厚いから暖かいだろう」で買うと外します。

クローズドセル:壊れない

発泡樹脂を成形したもので、銀マットや折りたたみ式がこれにあたります。

R値は控えめですが、このタイプにしかない強みがあります。

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公称R値2.0、183×57cm、厚さ2.4cm、435g。単体では夏向けの水準です。

強みは3つあります。

穴が開きません。 空気を使うマットは、パンクしたらその夜が終わります。クローズドセルにその心配はない。

準備がいりません。 広げるだけ。設営で疲れているときに、これは効きます。

重ねられます。 これが本題です。

R値は重ねると足し算になる 3.0と2.0で合計5.0になる図
R値はおおよそ加算される。買い替えなくても、下に1枚足せば基準を超えられる。

重ねるという選択肢

R値は、重ねるとおおよそ足し算になります。

これを知っていると、選び方の幅が広がります。

組み合わせ合計R値使える季節
クローズドセル単体(2.0)2.0
インフレーター単体(6.0)6.0冬まで
クローズドセル+インフレーター8.0真冬も

3シーズン用のマット(R値3〜4)しか持っていない場合も、下にクローズドセルを1枚敷けば5.0〜6.0になり、寝袋の前提である4.8を超えられます。買い替えるより安い。

そして順番があります。地面側にクローズドセル、体側にインフレーターです。硬いほうを下にすると、地面の凹凸や小石から上のマットを守れます。

選び方のまとめ

1枚だけ買うなら、インフレーター。 断熱と寝心地のバランスが最も良く、準備も楽です。

エアマットは、季節と用途を決めてから。 軽さと収納性は本物ですが、断熱は期待できません。

クローズドセルは、2枚目として持つと効く。 単体では夏向けですが、重ねる・保険にする・座布団にする、と応用が利きます。

そして数字を見るときは——

  • R値が書いてあるか
  • 書いてあるなら、ASTM F3340に基づくか
  • 4.8に届いているか

この3つです。

秋以降は、そもそも予報の気温より現地のほうが冷えます。 マットの数字と合わせて読んでおくと判断が早くなります。

なおマットは「R値が書いてある製品」を選ぶと、どうしても価格が上がります。 単価が上がるほど、買う時期をそろえる価値も上がります。

まとめ

  • R値は熱抵抗値。大きいほど地面に体温を奪われにくい
  • 2020年ごろまで、R値はメーカー間で比較できなかった。統一したのが ASTM F3340
  • 「R値6.0」と「5.0」を比べていいのは、両方が同じ規格で測られているときだけ
  • インフレーター=バランス型。最初の1枚に向く
  • エアマット=厚くても対流で熱が逃げる。厚さと暖かさは別
  • クローズドセル=壊れない、準備不要、重ねられる
  • R値は重ねると足し算。地面側に硬いほうを敷く
  • 寝袋の表示温度が成立する水準は R値4.8

道具のカタログには数字が並びますが、その数字がいつ、どの方法で測られたかまで見ると、比べていいものと比べられないものが分かれます。

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最後にひとつ伺わせてください。あなたのマット、R値は書いてありましたか? よければコメントで教えてください。

テントの耐水圧の目安|1500mmで足りる?フロアが高い理由

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テントの耐水圧の目安

テントのスペック表に、こう書かれています。

耐水圧:フライ1,500mm/フロア3,000mm

多くの人はこれを「数字が大きいほど雨に強い」と読みます。半分は正しく、半分は違います。

正しくないのは2点です。ひとつは、フライとフロアで数字が違う理由。もうひとつが重要で、この数字は「買った日の生地」の性能でしかないということです。

この記事では、耐水圧という数字が何を測っているのか、そしてなぜその数字が年々落ちていくのかを書きます。

テント選びの条件そのものは別記事にまとめています。

耐水圧は「水柱の高さ」

耐水圧は JIS L 1092「繊維製品の防水性試験方法」の静水圧法で測られます。

やっていることは単純です。生地の上に水の柱を立てて、どこまでの高さに耐えたら水が染み出すかを測る。 その高さがそのまま数値になります。

だから単位が mm なのです。長さの単位が防水性能を表しているのは、そういう理由です。

耐水圧1,500mm=高さ1.5メートルの水の柱を載せても染みてこない、ということです。

試験には低水圧を測るA法と、高水圧を測るB法があり、テント用の生地にはB法が使われます。

目安

耐水圧耐えられる雨の目安
〜500mm小雨
1,000mm普通の雨
1,500mm強い雨。一般的なテントの水準
2,000mm以上大雨・長時間の雨

1,500mmあれば、通常のキャンプで雨に困ることはありません。 ここは安心していい部分です。

耐水圧とは水柱の高さ 1500mmと2000mmの比較図
耐水圧は「その生地が何mmの水柱に耐えるか」。床だけ高いのは体重がかかるから。

フロアの数字が高いのは、雨のせいではありません

では、なぜフロアだけ3,000mmといった高い数字が要求されるのか。

上から降る雨の問題ではないからです。

フロアで起きているのはこういうことです。地面は濡れています。そこにあなたの体重がかかる。

人が座る、寝る、荷物を置く。すると生地と地面のあいだに圧力が生まれます。 その圧力が、地面の水を生地に押しつける。水は上からではなく、下から押し上げられて染みてきます。

つまりフロアの耐水圧は、雨に対する数字ではなく、体重に対する数字です。

だからこそ、次のことが言えます。

フロアの数字がフライと同じか、それより低いテントは避けてください。 スペック表に「耐水圧1,500mm」とだけ書かれていて、フライとフロアが分けて書かれていない製品は、フロアも同じ1,500mmの可能性があります。

そして、これを一段安全にする方法があります。

グラウンドシートを敷くことです。 テントの下に1枚挟むだけで、地面の水がフロアに直接触れなくなります。フロアの生地を摩耗からも守れるので、テント本体の寿命も延びます。

なお、グラウンドシートはテントの底面より少し小さいサイズを選んでください。

初心者がやりがちな失敗

「大は小を兼ねる」と考えて、テントより大きいシートを敷く。

これは逆効果です。 はみ出した部分が、雨を受ける皿になります。降った水がシートの上に溜まり、テントの下へ流れ込む。シートを敷かなかったときより悪いという結果になります。

大きいものしか手元にないなら、はみ出す部分を内側に折り込んでください。 テントの輪郭より内側に収まっていれば問題ありません。

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耐水圧5000mm。ここまで読んだ方には、この数字が高い理由がわかるはずです。グラウンドシートは、テントのフロアよりさらに下で体重を受けるからです。フロアに3,000mmを求める理屈が、そのまま一段深く効いてきます。

7サイズから選べるので、先ほどの「テントより少し小さく」を守れます。テントの底面寸法を商品ページで確認してから、それより一回り小さいものを選んでください。

ハトメとゴムループが付いているのも実用的です。風の強い日に、シートだけがめくれ上がるのを防げます。

本題:その数字は、買った日の生地の数字です

ここからがこの記事の核心です。

耐水圧は、経年で落ちます。 そして落ち方は、あなたの扱い方で決まります。

縫い目からは、生地の性能に関係なく漏れる

まず、テントには無数の縫い目があります。針が通った穴は、生地そのものがどれだけ防水でも、水の通り道です。

だからテントにはシームテープという防水テープが縫い目の裏に貼られています。ここが効いているあいだは漏れません。

問題は、このテープが劣化して剥がれることです。

そうなると、生地の耐水圧が何mmであろうと関係なく、縫い目から水が入ります。カタログ値2,000mmのテントが、実質的に雨をしのげない状態になります。

中古のテントを買うときや、何年も使っていないテントを久しぶりに出すときは、まずシームテープを見てください。 白く粉を吹いていたり、めくれていたりしたら、その状態です。

PUコーティングは、いつか必ず加水分解する

もうひとつが生地側の劣化です。

テントの防水は、生地にポリウレタン(PU)をコーティングすることで実現しているものが大半です。そしてPUには、水分と反応して分解する性質があります。これを加水分解といいます。

ここが大事なところです。加水分解は、避けられません。

安いテントでも高いテントでも、PUコーティングを使っている以上は起こります。表面がベタついてきたり、内側が剥がれてくるのは、これが進行した状態です。

「高いテントを買えば起きない」ものではない、と知っておいてください。

だから、寿命を決めるのは保管です

避けられないなら、進行を遅らせるしかありません。 そして進行を早める条件は、はっきりしています。

  • 濡れたまましまう … これが最悪です。撤収時に雨だったら、帰宅後に必ず乾かしてから収納する
  • 湿度の高い場所で保管する … 物置や押し入れの奥は要注意
  • 水道水で洗う … PUは塩素に弱いとされます。汚れは基本的に水拭きで

初心者がやりがちな失敗

最終日が雨だった。濡れたテントを袋に押し込んで、車に積んで帰る。疲れているので、その日は玄関に置いたまま寝る。翌日も仕事で、そのまま週末になる。

そして次のシーズン、久しぶりに出してみると——表面がベタつき、内側のコーティングが剥がれている。 場所によっては黒い斑点が出ている。

ここが厄介なところで、この状態は元に戻せません。 剥がれたコーティングは修復できず、防水性能は落ちたままです。

一度の油断で決まる話ではありませんが、この「1回」が積み重なると寿命が数年変わります。 帰宅した日にベランダで広げる、それが無理ならせめて袋から出しておく。それだけの差です。

耐水圧2,000mmのテントを濡れたまましまう人より、1,500mmのテントを毎回乾かす人のほうが、長く雨をしのげます。 数字より扱いです。

買うときに見るのは、この3つ

以上をまとめると、スペック表で見るべきものが絞れます。

1. フライとフロアが分けて書かれているか。 ひとつの数字しか書かれていない製品は、フロアがその数字である可能性を疑ってください。

2. フロアが2,000mm以上あるか。 体重がかかる場所です。ここは数字が効きます。

3. シームテープの有無が明記されているか。 「シーム処理済み」「目止め加工」といった記載を探してください。安価な製品では省かれていることがあります。

逆に、フライの数字が1,500mmを大きく超えているかどうかは、あまり気にしなくて構いません。 通常のキャンプで差が出る場面がほとんどありません。

記事で挙げた条件を満たすテント

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道具の記事でも挙げた、2人用・前室あり・ダブルウォールの定番です。耐水圧はフライとフロアそれぞれの数値が商品ページに記載されているので、購入前に上の3点を当てはめて確認してください。

ダブルウォールの本当の役目

最後に、記事1で「初心者はダブルウォールを」と書いた理由を、ここまでの話とつなげておきます。

ダブルウォールは、防水と通気を別々の生地に分担させる仕組みです。

  • 外側のフライシート … 防水を担当する。だから水を通さない
  • 内側のインナーテント … 通気を担当する。だから水蒸気を逃がす

人は寝ているあいだに水蒸気を出します。それを外に逃がせないと、内側で水滴になります。 これが結露です。

シングルウォールは、1枚の生地で防水と通気の両方をやろうとします。耐水圧の数字がいくら高くても、結露で内側が濡れれば、朝は同じように濡れています。

「濡れない」を耐水圧の数字だけで考えると、この経路を見落とします。

テントは、キャンプ道具のなかでも単価が高い部類です。買い回りのポイントは購入額に比例するので、年4回のセール(3月・6月・9月・12月)に寄せると差が出ます。 ただし、上限を知らずに買い足すと逆に損をします。

まとめ

  • 耐水圧は JIS L 1092の静水圧法で測った、水柱の高さ
  • 1,500mmあれば通常のキャンプでは困らない
  • フロアの数字が高いのは、雨ではなく体重のため。地面の水が下から押し上げられる
  • グラウンドシートを敷くと、その負担が減り、テントの寿命も延びる
  • その数字は買った日のもの。シームテープが劣化すれば、実質的な防水は失われる
  • PUコーティングの加水分解は避けられない。高いテントでも起きる
  • 寿命を決めるのは保管。濡れたまましまわない
  • 買うときに見るのは ①フライとフロアが別記載か ②フロアが2,000mm以上か ③シーム処理の記載があるか

数字が高いテントを買う人より、毎回乾かして片付ける人のほうが、長く雨をしのげます。

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最後にひとつ伺わせてください。あなたのテント、前回しまうときは乾いていましたか? よければコメントで教えてください。